大ヒットドラマ『半沢直樹』(TBS系)では、主人公が銀行内部の権力闘争や政治的圧力に打ち克った。だが、現実の世界の「銀行」はさらなる危機に直面している。新型コロナウイルスによる景気減退、ドコモ口座での不正出金問題……生活に身近な銀行の危機は、そのまま私たちの暮らしを脅かすことに繋がる。“銀行沈没”の時代に、資産をどうすれば守り抜けるのか。
7割が減益・赤字
新型コロナの感染再拡大に伴い、企業の倒産が増加している。関連する企業倒産件数(負債1000万円以上)は、9月18日までの累計で500件を超えた。
こうした企業の苦境に救いの手を差し伸べるのが銀行だ。再建計画を吟味し、ともに練り上げ、資金繰りを支援することで当該の企業や地域経済を再生する──それが銀行に課された大きな使命である。
大手金融機関はもちろん、地方銀行(地銀)にも大きな役割が期待される。地銀は貸出先が倒産すると、取引先である同じ地域の企業が連鎖倒産する怖れがあるため、簡単には企業再生を諦められない構造がある。ゆえに地銀のバンカーは「半沢直樹」のように、企業再建に奔走する。
だが一方、危機に瀕した企業への融資を継続することは、銀行にとって大きなリスクとなる。特にコロナ禍では、中小・零細企業への資金繰り支援として政府は実質無利子・無担保の融資を推し進めている。これは本来は市場で生き残る競争力がなく、淘汰されるべき「ゾンビ企業」が、生き長らえてしまっているとみることもできる。