たしかに中古車だとわかったうえで買ったけど…（イラスト／大野文彰）
中古車といえども、購入直後に故障してしまった場合、返品したいと考える人もいるかもしれない。しかし、販売店は返品に応じてくれるのだろうか？ 中古車の故障と返品について、実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
個人経営の中古自動車販売店で軽自動車を買いましたが、1週間たった頃、運転中にエンジンが止まってしまいました。その店に見てもらうと、前所有者が故障を修理しておらず、その状態で私が購入したようです。
店に返品をお願いしましたが、「中古車業界では、壊れたものも含めて現状販売がルール。だから安く販売している」と断られました。しかし、故障があるのを黙って販売するのは納得できません。返金してもらうことはできないのでしょうか。（千葉県・45才女性・会社員）
【回答】
売買で引き渡しを受けた商品の品質が、契約の内容に適合しない場合、不適合を知ったときから1年以内にその旨を売主に通知すれば、修繕を要求できます（「売主の契約不適合責任」といいます）。
今回のご質問では、「1週間たった頃、運転中にエンジンが止まってしまった」自動車の品質が、中古とはいえ自動車の売買契約の契約目的に適合しないといえるかどうかが問題になります。
中古自動車は、新車と違って、それ以前の所有者の使用状態により車体に見えない傷みがあったり、老朽化が進んでいたりして、性能に影響するような不具合が出てくることが予見されます。
したがって売買の際に、売主である店から性能保証や故障箇所について点検修理済みであるとの説明があれば別ですが、そうでなければ、買主もある程度の不具合が発生する可能性があることは覚悟して買い取るものだと思います。
価格も新車に比べて相当に安いのが普通で、格段に安い場合には、それだけ買主が修理費を負担して修繕せざるを得ない場合が出てくることも想定しているはずです。
