しかし、自動車は安全に走行することがその本質的使命です。そうであれば、中古自動車とはいえ、購入から1週間で、運転中にエンジンが止まってしまうのでは、およそ買主の予想を超えた不具合であるといえるでしょう。自動車の売買契約の内容に照らして、品質に大きな不適合があるといえます。
したがって、契約不適合責任を中古自動車販売店に追及できます。修繕できない故障であったり、期間を定めて催告しても修繕しない場合は、債務不履行を理由に契約を解除して、返品と代金の返還請求も可能です。
なお、「中古自動車業界では現状のままの販売で責任がない」という店の主張ですが、そのような条件を定めた契約書でもない限り、そもそも合意自体が認められることはありません。
仮に、その旨の店頭掲示などがあったとしても、事業のために使うのではなく、あなたが消費者として購入したのであれば、消費者契約法の適用があります。この法律は消費者に契約解除権を放棄させたり、事業者が一切の契約不適合責任を免れる合意を無効としているので、店は責任を免れません。
店と交渉しても、埒が明かない場合は弁護士に相談してください。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2023年4月13日号