投資情報会社・フィスコが、株式市場の3月27日~3月31日の動きを振り返りつつ、4月3日~4月7日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で656.23円高(+2.40%)と続伸。週足のローソク足は2週連続で陽線を形成した。
日経平均は週を通して堅調だった。欧米の銀行経営不安が後退したことに加え、3月期決算企業の配当・優待権利狙いの買い、株価指数連動型ファンドの配当再投資目的の先物買い需要などが全体相場をけん引した。週後半には米長期金利の上昇が一服したことや、米半導体のマイクロン・テクノロジーの決算や同業インテルの新製品発表スケジュールを手掛かりとしたハイテク株の上昇が支援。週末には東京証券取引所による株価純資産倍率(PBR)1倍割れ企業に対する改革要請の報道なども材料視され、配当落ち直後の中でもバリュー(割安)・高配当利回り銘柄に強い買いが入った。日経平均は権利落ち日を除いた4日間すべて上昇し、権利落ち日も配当落ちの影響を考慮すれば実質的に約150円上昇した。
今週の東京株式市場は上値の重い展開か。各国当局による迅速な対応が矢継ぎ早に打たれたこともあり、欧米での銀行経営を巡る不安はいったん後退し、株式市場でも買い戻しの機運が高まっている。一方、東京市場では、3月期決算企業の配当・優待権利取りの動きが一巡したほか、株価指数連動型ファンドの配当再投資目的の先物買い需要というプラス要因が剥落するため、需給面での追い風は少なくなっている。それでも、需給イベント通過直後の先週末に日経平均が28000円を超えてきたあたり、投資家センチメントは悪くないようだ。東証がPBR1倍割れの企業に対し、株価水準を引き上げるための具体策の開示を求めたとの報道も、海外投資家の日本株への注目度を高める支援材料になりそうだ。
期末特有の金融機関による決算対策の売り需要や年金基金のリバランス目的の売りが一巡してくることも需給面では重しが一つ外れることになる。日本取引所グループ(JPX)が公表する投資部門別売買動向によると、投資信託は3月第3週(3月13-17日)から現物・先物合算で買い越しに転じ、同週まで18週連続で現物株を売り越していた信託銀行も第4週(3月20-24日)にはようやく買い越しに転じた。一方、名実ともに新年度相場入りとなることで、4月第1週は期初特有の機関投資家による益出し売りが重しとなる可能性があり、この点が日本株の上値抑制要因となりそうだ。
他方、海外では米国で週末に雇用統計が発表されるほか、供給管理協会(ISM)の景況指数が製造業・非製造業それぞれ発表される。金融システム不安が後退してきたことで、市場の関心は再び米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を左右する経済指標へと移ってきている。パウエルFRB議長は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で銀行の経営不安がもたらす信用収縮が利上げと同等以上の効果を有する可能性を指摘していたが、基本的には問題がこれ以上大きくならないのであれば、インフレ抑制を最優先に利上げを行う方針を維持している。