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「東京ドーム1個分=歩くと1辺3分の正方形」 面積の大きさが直感的に理解できる換算術

「同じ面積」でも周囲が最も短いのは「円」

 最後にちょっと面白い数学の話を。実は、同じ面積を作る図形のうち、周りの長さが最も短い図形は円であることが知られています(これを「等周定理」といいます)。つまり「東京ドーム1個分」の面積の正方形よりも、同じ面積の円のほうが周りの長さが短くなるんです。すると当然、ぐるっと1周するのにかかる時間も円のほうが短くなります。

 計算してみましょう。「東京ドーム1個分」の円の半径をとしましょう。円の面積は、「半径×半径×円周率(3.14)」で計算できるので、「X×X×3.14=4万6755」という式を作ることができます。ここからを計算すると、「X= √(4万6755/3.14)=約122」となります。つまり、東京ドーム1個分の円の半径は約122メートルというわけです。

 では、この円の周りの長さ(円周)は何メートルでしょう。

 円周の長さは「直径(半径×2)×3.14」で計算できます。実際計算すると、「122×2×3.14=766メートル」とわかります。これが、「東京ドーム1個分」の円の周りのおおよその長さということになります。

 先ほど見たように、人が歩く速さは1分間で約67メートルなので、766÷67=約11分、つまり丸くぐるっと1周歩いた時、だいたい11分かかる敷地の面積が「東京ドーム1個分」になるというわけです。

 なお、正方形だと1周回るのにかかる時間は約12.8分でしたので、確かに円のほうが早く回れることがわかりますね。

【プロフィール】
鈴木伸介(すずき・しんすけ)/1979年、奈良県生まれ。株式会社数学アカデミー代表取締役。おとなのENJOY! 数学クラブ主宰。中小企業診断士。早稲田大学理工学部卒。医学部受験に特化した数学マンツーマン指導事業を中心に、企業を対象にした数学リテラシー向上研修やデータ分析コンサルティング事業を行なう。数学の価値・楽しさ・使い方を広く伝える活動を行なっている。著書に『もう一度解いてみる入試数学』(すばる舎)がある。

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