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暗号資産もFXも本質的にはゼロサムゲーム…結局「お金持ちになるために投資すべき金融商品」はひとつに絞られる

「ビットコインは儲かる」と後から参入した人の末路

 金融市場では次々と新たな金融商品が登場し、資産運用の選択肢が増えています。「ビットコイン」をはじめとする暗号資産(仮想通貨)はその典型です。

 2008年に発表されたブロックチェーン理論から生まれたビットコインは、2011年にアメリカの雑誌『TIME』で特集されたことで価格が急騰、1年間で100倍(1か月で20倍)になる最初のバブルを迎えました。次のバブルは2013年で、世界金融危機の余波でキプロスが破綻の瀬戸際に追い込まれると、国家が発行する通貨への信用が揺らいで価格が急騰。このときは2年間で価格が100倍になっています。

 その後、2017年末に1BTC(ビットコイン)=2万ドルを超えましたが、これは4年かけて価格が10倍に上がったことになります。18年以降の規制強化によっていったんバブルが崩壊したものの、新型コロナの感染拡大で再び急騰し、2021年3月には6万ドルの最高値に達し、やはり4年間で価格が10倍になりました。

2010年以降のビットコインの価格推移

2010年以降のビットコインの価格推移

 これが、ビットコイン神話が生まれた経緯です。2011年を起点として、およそ10年で100万倍になったのですから、とてつもなく有利な投資に思えます。たまたま100円分のビットコインを買い、すっかり忘れていて、10年後に気づいたら1億円になっていたわけですから。

 ところがその後、値動きは不安定になり、21年7月には3万ドルと半値まで下落、11月にふたたび6万ドルを超えたものの、アメリカの利上げや大手交換所FTXの破綻などで、23年に入ると最高値の3分の1以下の1万7000ドルまで暴落してしまいます。現在は、アメリカの銀行破綻に端を発した金融不安で2万8000ドルまで値を戻しています。

 こうした値動きを追っていくと、リバタリアン(政府の規制を嫌う自由原理主義者)的な政治イデオロギーをもつテッキー(テクノロジーおたく)など、ブロックチェーンの可能性にすぐに気づき、なんらかの信念によって最初期から暗号資産に投資していたひとたちは大きな利益を得たでしょうが、少なくとも近年は、ボラティリティの大きなゼロサムゲーム(誰かが儲かれば誰かが損をする)になっています。

 株価が大きく上昇しているときですら、デイトレーダーの8割ちかくが損をしていたというアメリカの有名な調査があります。「もうちょっと待っていれば株価が回復したのに」などと、後づけではなんとでもいえますが、損をすると心理的に強い痛みを感じるので、高値で買った株が少しでも値下がりすると、パニック的に損切りするという不合理なトレードを繰り返してしまうのです。

 こうした投資家心理を考えれば、「ビットコインは儲かる」というネット情報に踊らされて遅れて参入した素人の多くは、損失を抱えて撤退することになったのではないでしょうか。対数グラフで見れば、近年のビットコインは上昇率が鈍化しており、短期間に10倍や20倍になって大儲けできるという「夢の時代」は終わったように思えます。

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