新型コロナ禍で、何度も崩壊の危機を迎えた日本の医療現場。そこで浮かび上がったのは「かかりつけ医」の重要性だ。国際未病ケア医学研究センター長で医師の一石英一郎さんが指摘する。
「欧米では体調不良が生じた際、最初にホームドクターが診察し、必要に応じて地域の基幹病院や大学病院につなげるという体制が主流です。しかし、コロナ禍の日本では大病院に患者が集中して医療が逼迫しました。
今後、日本でもホームドクターなどが日常的に患者の体調をチェックし、状況に応じて大病院につなぐ仕組みを強化することが少子化や超高齢社会を迎えるわが国での患者の健康や医療システムを守るために必要です」
一方で気がかりなのが、医療従事者による事件や事故だ。この2月、東京都八王子市の滝山病院で看護師による暴行事件が明らかになった。
「暴行を告発した弁護士が内部協力者から入手した映像には、看護師が“腕を折るぞ”と患者を脅す様子が映っていました。この病院は以前から虐待の日常化が噂され、患者の死亡退院率が極めて高く、人権団体は『死なないと退院できない病院』と指摘していました」(全国紙社会部記者)
虐待だけでなく、病変の見落としや医療ミスなど医療従事者が処置を誤ると患者の身に危険が及び、最悪の場合は命を落とす。
つまり、安全な病院の、信頼できるかかりつけ医を見つけられるかどうかが生死を分ける可能性もあるのだ。厚労省の医療施設調査(2021年)によると、全国の医療施設総数は約18万施設。その中から避けたほうがいいのは、どんな医師か。
移動の負担が少ない場所にある病院を選ぶ
現状で、多くの人が最初にかかるのは主にクリニックなどの開業医だ。まずは受診前に見極めるべき点がある。
「最初に注目すべきは立地です」と指摘するのは、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんだ。
「体調の悪い状態で遠方のクリニックに通うのは体力的につらく、できれば自宅と同じ町内にあるクリニックが望ましい。それ以外では、公共交通機関のアクセスがよかったり、タクシーでさっと行ける距離にあるなど、とにかく移動の負担が少ない場所にある病院を選ぶことが大切です」(太田さん)