吉田みく「誰にだって言い分があります」

もはや運転免許は贅沢品? 教習所費用と奨学金の「ダブル返済」に直面する新社会人の憂鬱

免許証取得にかかる費用も上昇している(イメージ)

免許証取得にかかる費用も上昇している(イメージ)

 昨今の物価高の影響で、運転免許証の取得にかかる費用も値上がりしてきている。自動車学校の教習料金は現在30万円ほどが一般的なようだが、技能教習の追加や学科試験を再受験などした場合は追加料金が発生するため、当初想定していたよりも総額が高くなるケースも珍しくない。かつては免許が取得できる年齢になると同時に教習所へ通うケースが多く見られたが、最近は金銭面でのハードルが高くなってきているようだ。なかには、免許を取得したところで喜びや希望が感じられないという若者もいる。フリーライターの吉田みく氏が、この春、合宿で運転免許を取得したという新社会人の20代男性に話を聞いた。

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 今春、新社会人となった都内在住のカズマさん(仮名、23歳)。就職直前に合宿で運転免許取得に向けた自動車教習を終えたが、それまでは親との間ですったもんだを繰り返してきたという。

「大学に入学した頃から、母には『時間のある学生のうちに自動車教習所へ通ったほうがいい』と言われ続けていました。でも、都内に住んでいたら自家用車に乗る必要は感じないし、免許を取っても車が買えるわけもないので、『必要ない』と聞き流していました」(カズマさん、以下同)

 事あるごとに自動車教習所へ通うことを勧めてきたカズマさんの母だが、その費用を援助してくれるわけではなかったという。

「母はあれだけ運転免許証が必要だと力説しながら、『自分で稼いだバイト代から払うのが当たり前』と言い切ってました。でも大学の友達に聞くと、大半が親に出してもらっています。近所にある自動車教習所の費用を調べたことがありましたが、学割を使っても25万円はかかることが分かりました。毎月8万円くらいのバイト代から、そんな大金を捻出するのは実質不可能ですよ……」

 カズマさんが教習所通いを敬遠してきたのには、他にもご時世的な理由があった。この数年は、自分なりのコロナ対策として、密になりやすい環境をなるべく避けたかったのだという。教習所に通うとしても、コロナが収束してからでいいと考えていたそうだ。

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