2025年に大阪で開催される「大阪・関西万博」の運営主体である2025年日本国際博覧会協会は、4月6日に会場内での支払い手段について、全面的に「キャッシュレス化」することを発表した。日本は諸外国に比べてキャッシュレス決済の普及が遅れていると指摘されることが多く、高齢層を中心にまだ定着しているとは言い難い現状がある。万博をきっかけとした普及拡大も望まれるところだが、うまく期待通りに機能するのだろうか。
万博を運営する同協会の担当者は、キャッシュレス化についてこう説明した。
「会場ではクレジットカード、IC型電子マネー、QR型電子マネーなど日本最大級のブランド数となる約60の決済手段の取り扱いを目指しています。これにより支払いの簡素化、レジでの会計の時間短縮、非接触化によるウイルス対策、非現金化による防犯対策につながると考えています」
会場ではブロックチェーン(分散型台帳)技術を使った独自の決済アプリ(EXPO2025デジタルウォレット)を導入する一方、高齢の来場者、修学旅行等で会場を訪れる学生など決済手段を持たない人を想定して、プリペイドカード販売でのサポートを検討しているという。
前出の担当者は「会場をキャッシュレス社会の実験場にするとともに、日本のキャッシュレス推進につなげる狙いもある」と意気込みを見せた。
国際博覧会でのキャッシュレス決済の本格導入は初めてのことだというが、懸念はないのだろうか。ITジャーナリストの三上洋氏はこう話す。
「安定したネットワーク環境があることが大前提になります。IT重視で進められてきた大阪・関西万博の会場で各携帯キャリアの電波が届かない場所はないと思いますし、来場する多数の人をスマホアプリ上でガイドするという仕組みもあるので、何万人がアクセスしてもいい電波環境を作るはずです。それが作れないとなれば大騒動になりますから、まず問題ないと考えていいでしょう」