4月から新年度が始まったが、値上げラッシュは相変わらず続く。帝国データバンクによると、主要食品メーカー195社が4月から5000品目超の値上げを発表したが、これは前年同月比4倍の品目数だという。1世帯あたりの今年度の食費負担は、前年度に比べて年間約2万6000円増えると試算されている。その他、電気料金や日用品、外食などあらゆる産業で値上げが見られるが、その流れはいわゆる「ハイブランド」も例外ではない。バッグや衣類、装飾品などの相次ぐ値上げにより、さらに“高嶺の花”となり、いわゆるブランド好きの人の意識にも変化が表われているようだ。フリーライターの吉田みく氏が、30代と20代の女性に話を聞いた。
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ディオール、プラダ、エルメス、フェンディ、ルイ・ヴィトン……日本でも多くの人が憧れを持つハイブランドのファッション・アイテムに、大きな値上げの波が押し寄せている。この数年、生産コストや原材料の高騰、円安の影響などから商品の値段は上がり続け、かつてのように“ちょっと背伸び”をすれば買えるような価格ではなくなってきているという。
ブランド品を“卒業”したら思わぬ陰口が…
都内在住の会社員、マサコさん(仮名、33歳)は、ブランド品集めを卒業したことを話してくれた。
「ボーナスが出た時に“自分へのご褒美”として何十万円もするハイブランドバッグを購入していましたが、もう卒業しました。正確には、どんどん値上がりするので買えなくなりました……」(マサコさん)
マサコさんが初めてブランド品を手にしたのは、両親からの成人式のプレゼントだった。1ドル90円前後の時代だったこともあり、10万円以下で人気ハイブランドのバッグを手に入れることができたそうだ。周りの友人も競うようにブランド物を身に着けており、その頃からハイブランドの虜になっていた。
「友人からの『羨ましい!』『かわいい!』などの誉め言葉が嬉しかったのを記憶しています。学生時代はバイト代を、社会人になってからはボーナスのほとんどをハイブランド品購入につぎ込んだんです。新作が出た時には、クレジットカードの分割払いを利用してまで買っていました。いまでも部屋に使わなくなったバッグやアクセサリーが転がっています」(同前)