家計

日銀・植田和男総裁体制で金利どうなる? 金融政策正常化で「住宅ローン破綻」の恐怖

日本では変動金利で住宅ローンを組んでいる人も少なくない(イメージ)

日本では変動金利で住宅ローンを組んでいる人も少なくない(イメージ)

 新しい日銀総裁の誕生を受けて、日本の金融政策はどう変わるのか──4月9日、日本銀行の新総裁に植田和男氏が就任した。10年にわたる黒田東彦・前総裁による大規模な金融緩和政策は、総裁交代でどうなるのか。注目が集まっている。

 市場関係者の間で「早期修正が行なわれるのでは」との見方が広がっているのが、「イールドカーブ・コントロール(YCC=長短金利操作)」だ。これは、日銀が長期金利(10年物国債の利回り)の上限を±0.5%にするために、国債を買い付けて長期金利を低く抑える政策。ただ、これによって「海外の投機筋が日本国債をどれだけ売り浴びせても、いくらでも日銀が買ってくれるのでやりたい放題」(市場関係者)となるなど、国債市場の機能低下が大きな副作用として懸念されてきた。

 実際、国債市場の機能低下を背景に、2022年12月に日銀は長期金利の変動幅を±0.25%から±0.5%へと拡大しており、植田氏も就任前の国会の所信聴取で「さまざまな副作用が生じている」と認めていた。

 ただし、10日の新総裁就任会見で、植田氏は「現状の経済、物価、金融情勢を鑑みると、現行のYCCを継続することが適当であると考えています」と表明している。

 この新総裁発言を受けて、長期金利はやや低下するなど落ち着きを見せているが、はたして今後の長期金利はどう推移していくのか。

 経済ジャーナリストの須田慎一郎氏は、次のような見方をする。

「大規模な金融緩和策によって日銀が保有する国債残高は3月末時点で約581兆円と過去最大規模にまで膨らんで、国債の発行残高に占める割合は50%を超えている。いくら日本国債のマーケットが大きいとはいえ、これだけ日銀の保有残高が膨らんでいるところに、海外の投機筋が売りまくった国債を日銀が買い支えるという構図は、早晩行き詰まるのが目に見えています。昨年12月のように長期金利の上限はいずれかのタイミングで拡大させ、YCCをやめざるを得なくでしょう」

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