マスクなしで迎える3年ぶりのゴールデンウイークがやって来る。JTBの推計によると、国内旅行に出かける人は前年比から53.1%も増加する見通しだという。久々の遠出に財布もつい緩みがちだが、自由に行動できるようになったのに「先立つもの」がなくなれば元も子もない。
『新版 正しい家計管理』の著者で家計に関する多くのベストセラーを生み出してきた公認会計士の林總さんは、出費がかさむ時期こそ、家庭内で「お金が貯まるシステム」を作ることが肝要だと話す。
「家計管理を成功させるポイントは『支出を収入内に抑えること』のみ。家計簿をつけたりスーパーで安いものを買ったりすることが、貯金を増やすことに直結するわけではありません。家計を黒字化させたいならば、真っ先に取り組むべきはシステムの確立です。たとえば、毎月の生活費を10万円と決めたら、それ以上は使いたくても使えない仕組みを作っておくべきなのです」(林さん・以下同)
林さんが「自動的に家計が黒字化するシステム」として真っ先に推奨するのは毎月、4つの口座にお金を振り分ける方法だ。
「まず、給与が振り込まれる『入金口座』を用意して、そこから3つの口座にお金を振り分けます。具体的には、将来に備えるお金は『貯蓄口座』で、住宅ローン返済専用の『住宅ローン口座』で、スマホ料金、光熱費など毎月必ず出ていくお金と食費や被服費など月ごとに変動するお金は『生活口座』で管理します。
振り分ける金額の目安は世帯月収が50万円だとした場合、収入の10%である5万円を貯蓄口座に、ローンの返済金を住宅ローン口座に、残りを生活口座に入れるといいでしょう。なお、ローン返済額は月収のおおむね40%以内にしたいものです。この方法を実行できれば、20年間で貯蓄口座に1200万円が貯まっている計算になります」
夫婦一方のみに収入がある場合は、給与の振込口座をそのまま入金口座とすればいいが、共働きの場合は、夫婦それぞれの給与口座とは別に共通の入金口座を作って、一元管理しよう。
「共働きの場合、入金口座にお互いの収入全額を入れておくのが理想です。それぞれが別の口座を持っていると、家計が不透明になりやすく、貯蓄の効率が下がるからです。実際に、口座を別々にしていたために隠れて借金を作ったりして自己破産するケースがありました。
難しい場合は、夫婦間で話し合って決めた金額を入金口座に入れるようにしましょう。それぞれが自由に使えるお金を確保したいなら、“お小遣い”として決まった金額を手元に残し、残りを入金口座に振り込んでください」