その先に見据えるのは鳥井氏への“大政奉還”という見方も根強い。経済ジャーナリストの片山修氏が指摘する。
「サントリーでは、2014年にローソンの経営を立て直した“プロ経営者”の新浪剛史氏を、創業家以外から初めてHD社長に招聘しました。新浪氏は、買収したジムビームの経営改革を進めるなどして酒類事業を拡大しましたが、昨年あたりから“そろそろ創業家にバトンタッチでは”と囁かれています。
鳥井氏が自ら『勝負の年』と宣言する今年、新たなビールを引っ提げてビール戦争に勝利し、サントリーHDのトップに立つ気概を示しているのではないでしょうか」
サントリーHD広報部はこう語る。
「サントリー生ビールは初動が好調で、4月12日時点で販売数量が過去20年間でのサントリーのビール類の新製品(缶容器)において最速で100万ケース(注:ケースは大瓶20本、633ml×20本の換算)を突破しました。ビール類市場でのシェア25%達成に向けて重要な商品であり、しっかりとブランド育成したい」
※週刊ポスト2023年4月28日号