コロナ禍でビール各社が力を入れるのが家庭向けの“健康志向”ビールだ。なかでも2020年10月にキリンが開発した“糖質ゼロ”のビール「一番搾り 糖質0」が大ヒットとなった。そこにサントリーはこの4月、同ジャンルの「パーフェクトサントリービール」で参戦。熾烈なバトルが始まろうとしている。
今後、糖質ゼロ戦争がどのような展開を見せるのか注目される一方で、アサヒやサッポロの動きも気になるところ。経済ジャーナリストの河野圭祐氏が言う。
「今後の市場が拡大していけば新規参入は十分あり得るでしょう。特にアサヒの『スーパードライ』のブランド力はいまだに強力。たとえば『スーパードライ糖質ゼロ』を発売すれば一気にトップに躍り出る可能性も秘めています。
アサヒは過去に糖質50%オフのビール『アサヒ・ザ・ドリーム』を発売したこともある。すでに相当の技術力を持っているのではないか」
アサヒに訊ねると、「今のところ(糖質ゼロビールを)出す予定はありません」(広報部)と回答した。アサヒ関係者が言う。
「ネックは、やはり“味の物足りなさ”です。糖質をカットすると、どうしてもビール本来のキレ味や飲み応えを実現することが難しい。発泡酒や新ジャンルに糖質ゼロの商品もあり、現状では静観の構えです」
アサヒは缶の上部が全開する新容器で生ビールの泡立ちを再現した『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』(4月発売)と、アルコール分0.5%で「微アルコール」を打ち出した「アサヒ ビアリー」(3月末発売)の2つの新機軸で対抗していく方針だという。