「酒税改正を控えた本年は、ビール事業にとって正念場の年」
競争がここまで激化するのは、この先のビール業界の大きな変化を見据えているからだ。
今年10月にビール350mlあたりの酒税が70円から63.35円に引き下げられる一方、安さが売りの第3のビールは増税により発泡酒と同額の46.99円となる。
「酒税改正により、ビールとの価格差が縮まる第3のビールの需要減が予想されます。ヒット商品『金麦』を抱えるサントリーは大手4社のうち第3のビールの販売量が最も多く、酒税改正が大きな逆風となる。危機感は大手のなかで最も高いでしょうね」(経済ジャーナリストの河野圭祐氏)
さらに3年半後の2026年10月にはビール類の税率がすべて統一され、激動の新時代が始まる。
「この先は、普及価格帯のビールが主戦場になるはずです。加えて各社は、人口減や若者のアルコール離れに対応する商品やお酒の新しい飲み方、飲む場所の提案まで求められるでしょう」(関氏)
生き残りをかけた戦略が各社に問われるなか、サントリーHD広報部はこう語る。
「サントリー生ビールは初動が好調で、4月12日時点で販売数量が過去20年間でのサントリーのビール類の新製品(缶容器)において最速で100万ケース(注:ケースは大瓶20本、633ml×20本の換算)を突破しました。ビール類市場でのシェア25%達成に向けて重要な商品であり、しっかりとブランド育成したい」
勝負の年にビール戦争を制するのはどこか。
※週刊ポスト2023年4月28日号