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物議を醸す「いじめ保険」 “いじめられた側が転校する前提か”の声に販売会社の見解は

「いじめ保険」の補償内容とは(イメージ)

「いじめ保険」の補償内容とは(イメージ)

 学校内で起きる「いじめ」は深刻な社会問題だ。文部科学省が公表した「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、いじめの重大事態の件数は700件を超えている。さらにインターネットの普及などでその深刻さは増しているとされる。

 そうしたなか今年10月、国内損保最大手の東京海上日動火災が「いじめ保険」の提供をスタートさせるという。商品の正式名称は「トラブル対策費用補償特約」。一体、どのような経緯で誕生したのか。東京海上の広報担当者が語る。

「もともとお客様がいじめなどの被害に遭った場合に相手方に『賠償請求』をする弁護士費用や法律相談の費用を負担する商品は販売していました。一方で被害に遭ったお客様ご自身のメンタルケアや再発防止につながる補償がなかったので、特約という形で開発することになりました」

 この特約は子供が通う学校かPTAが同社の教育関連の団体保険を契約しているのが前提で、希望する保護者が個別に加入することになる。特約にかかる追加費用は弁護士費用を補償する特約とセットで「月額120円」だという。

「(一般的に特約については)学校の説明会などで親御さんに説明される際に、興味があればその場でご加入を募っていただくことが多いです」(広報部)

 つまり、子供がいじめに遭わないか不安な保護者が自身の判断で「特約をつけるか」を決めるということになる。娘が中学校に通う40代女性は、PTAのなかで「いじめ保険」が話題になったと話す。

「PTA会長が“うちも入っておこうかしら”なんて言っていましたが、その人の娘さんはまずもっていじめられるようなタイプではない。加入するにも個人単位だから、周りがどうしているのか気になります……」

限度額は「1事故あたり20万円」

 ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏はこの特約について「興味深い新商品だ」と語る。

「PTAなどが保険に加入している上で、さらに『いじめ問題』にフォーカスした補償を希望する家庭が追加で保険料を払うという建付けは目新しく、興味深いです」

 では、具体的にこの特約はどのような「補償内容」になっているのか。

 東京海上が発表した概要によると、生徒がいじめや嫌がらせなどの被害を受けた場合に、再発防止のための防犯対策費用や、転校に関わる引っ越し代や制服・教材費、臨床心理士によるカウンセリング費用などが「1事故あたり20万円」を限度に補償されるという。

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