気になるのは、加入の際の「条件」だ。例えば「がん保険」であれば既往歴などを告知する必要があり、罹患している疑いのある人が意図的に加入しないよう約3か月程度は保険金が受け取れない「免責期間」が設けられる。今回の特約のケースでは、「現段階でいじめがないこと」を証明する書類などが必要になるのだろうか。
「加入時に(いじめを受けているかの)告知義務はございません。ただ、加入直後に被害が発生した場合などは『いつ発生したものか』をご確認させていただくことになります。また補償を受ける際に特定の書類の提出などは必要ありませんが、学校側に相談している実績を確認させていただくことが必要になります。例えば親御さんが学校に手紙を出す、学校の窓口に相談しているなどを想定しています」(広報部)
「転校費用補償」が“一人歩き”している
この特約の発売がリリースされると、ネット上では多くの意見が交わされた。なかには、転校時の引っ越し代や制服代が補償内容に含まれていることに対して、〈なんでいじめられた側が転校することが前提なのか〉などと否定的な声も少なくなかった。こうした反響についてどう受け止めているのか。
「ネットの声は拝見していますが、報道のなかで正しく理解されていない方もおられるのかなと思っております。『転校費用補償』という部分が“一人歩き”していますが、そもそも転校を前提にしている保険ではないことをご理解いただきたい。
いじめに遭ってしまった方のなかには、やはり環境を変えて再スタートしたいという方が一定数いらっしゃると考えています。そういう方々が環境を変える際に金銭面でサポートできる補償がこれまではなかった。転校をご希望されない方には、カウンセリング費用といったところでお役に立てればと思っております」(広報部)
前出・風呂内氏は、被害を受けた際に「幅広くカバーする補償」に賛成の立場だという。
「保険商品としては補償を受けられるシーンが多いほうが加入者としては有利だと思います。いじめに対して皆さんが画一的な結論を選ばれるわけではないので、幅広い想定がされている良い補償内容だと思います。また、加入すべきか悩まれている保護者の方は、20万円という金額が『いざという時に必要かどうか』を判断の材料にされると良いでしょう」