吉田みく「誰にだって言い分があります」

今どきの子供への「お金の教育」の難しさ 娘に「現金は汚い」と言われた母の悩みと二転三転

便利なキャッシュレス決済だが現金にはない落とし穴があった(イメージ)

便利なキャッシュレス決済だが現金にはない落とし穴があった(イメージ)

 リンさんも現金の衛生面に対してはいい印象を持っていなかったが、娘に「お金は汚い」とことさら言い募ったわけではなかったという。いつの間にか我が子も同じ感覚になっていたことに驚いたそうだ。家族会議の結果、使い方に注意しながらキャッシュレスでお金の使い方を学ぶことが決まった。しかし、すぐに別の問題が発生してしまう。

「娘はキャッシュレス決済の手段を何も持っていないので、私か夫が一緒にいる時でないと支払いができないことに気づいたんです。子供が出入りするような駄菓子屋などは現金しか使えないことも多く、キャッシュレスだけでは娘が自分でお金を使う場面で賄えないことにも気付きました」

「まずは私が勉強すべきでした」

 再度、リンさんは娘に「現金を使ったほうが勉強になるし、友達同士で買い物をした時も便利」などと話し、やはり現金で「お金の教育」をする方向に持っていった。娘も渋々納得はしたものの、あまり積極的には使いたがらなかったという。

 生活力を付けてほしいと思って始めた娘のお金の勉強に、思わぬところで躓いてしまったリンさん。学生時代からの友人に相談すると、意外な反応が返ってきたという。

「『コロナの影響で衛生面が気になるのはおかしなことじゃないと思う』『キャッシュレス決済できる場所はかなり多いし、わざわざ現金を使って勉強させる必要もなくなってきているかもよ?』と言われたんです。たしかにこれからの時代は、キャッシュレス決済と上手に付き合っていく勉強をさせるほうが賢い選択な気がしてきました」

 友人からのアドバイスで気が楽になり喜んだのも束の間、キャッシュレス決済でリンさん自らが痛い目に遭ってしまう。

「数百円ほどの少額の支払いが積もり、約2年もの間、知らずに月3万円くらい生活費の予算をオーバーして使っていたことが分かりました。いちばん使う決済アプリを銀行口座から自動でチャージされる設定にしていたので、使っている感覚があまりなかったんです。気付けば独身時代の貯金はほぼゼロに……。娘にお金の勉強をさせる前に、まずは私が勉強すべきだと思いました」

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