「異次元の少子化対策」でさらに負担率上昇か
前出のベテラン社労士が続ける。
「年金だけではなく、社会保障関連の給付カットの議論はいくつもあります。介護保険の分野では、要介護1・2の訪問介護や通所介護を保険のサービス給付から外して、市区町村の『総合事業』へ移管させるという制度変更が議論されています。実施されれば、サービスの水準が自治体によって異なる状況となって事実上のサービス給付削減になることが懸念されています」
保険料を負担する現役世代が減って、給付を受ける高齢者が増えているなかでは、各分野で同様の構図があると言えそうだ。
「そうした状況を少しでも変えるために、岸田政権が『異次元の少子化対策』を掲げているわけですが、その少子化対策の財源について、岸田首相は『社会全体が広く負担する視点が重要』と言って、社会保険料から捻出されることが有力視されています。国民負担率のさらなる上昇になるのではないかと思われますし、“社会全体が幅広く負担”するということは、子育て世代の負担も増す可能性があり、少子化対策にどこまでの実効性が期待できるのか不安視されます」(同前)
五公五民批判への反論も結構だが、大きい負担に対して国民がどう納得できるようにするのか、言葉を尽くして説明してもらいたいものだ。(了)