「コオロギ食」を給食に出すことの問題点
有事に食料や生産資材の輸入が途絶すれば、日本人が飢えるのは目に見えている。だが、日本政府は食料自給率の向上のために動く気はないらしい。
その代わりに注目が集まっているのが「コオロギ食」だ。食用コオロギを養殖する企業が、学校給食に参入し、徳島県の小学校で乾燥コオロギの粉末入り給食を提供したことが報じられ、物議をかもしている。
日本にもイナゴや蜂の子など、昆虫食の習慣はあるが、コオロギを食べる習慣はない。それを食べろと言われても、心理的な抵抗感があるのは当然だろう。
そもそも、コオロギの食品としての安全性には、まだ検証されていない部分がある。漢方薬の辞典には「コオロギは妊婦には処方できない(禁忌)」との記載があるということで、国会でもその安全性について議論されているほどだ。こうした段階で学校給食に提供するのは問題だろう。「子供で実験した」と批判されてもしかたがない。
食料自給率向上のための施策には予算がつかない。まともな食料生産振興のための支援予算は長年減らされ、現在の農水予算は総額2.3兆円しかない。
さらに、SDGsを悪用するかのように、水田のメタンや牛のゲップが地球温暖化の主犯であるかのような指摘が強調され、昆虫食はSDGsに貢献するかのような流れで、大々的に推進する機運が醸成されつつある。
子供達を「実験台」にしてはならない。これでは戦後の米国の占領政策による学校給食と同じようなことになりかねない。