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老後資金2000万円は本当に必要か?「医療費1割負担」「安くなる葬儀代」…年を取るほどお金はかからない現実

老後生活費の内訳(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)

老後生活費の内訳(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)

 遺産総額が「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」より少なければ、相続税はかからない。例えば、妻と子供2人の家庭なら、総額4800万円までは無税で相続できる。にもかかわらず、これほど多くの“一般家庭”で相続争いが起きているのだ。お金はできるだけ使い切ってしまわないと、亡くなった後に子供たちが争うことになるかもしれない。

 さらに女性の場合は、夫の財産を相続することになる可能性もある。男性よりも6年、平均寿命が長いからだ。相続した財産に加えて遺族年金もあり、生活費の負担も少なくなる。

「2018年の三菱UFJ信託銀行の調査では、相続額の平均は2114万円と、それなりに大きなお金を残している人が多いことがわかります。いまの貯蓄が目減りすることを悲観して生活を切り詰めすぎるよりも、年齢や健康状態、貯蓄残高のバランスを取りながら、生きているうちにきれいにお金を使い切るのも一つの手です」(黒田さん)

老後の医療費はそれほど大きな負担にならない

「お金がないまま年を取ったら、通院や介護はどうしたらいいのか……」と不安になるかもしれないが、実は老後の医療費は、それほど大きな負担にはならない。

 介護費用の平均は581万円で、医療費は3割負担だとしても400万円ほど。合わせれば1000万円近い金額にはなるが、それらすべてを貯蓄でまかなわなければならないわけではない。

 現時点では、75才以上の後期高齢者の多くが、医療費は1割負担で済む。加えて、介護保険制度によって、ホームヘルパーによる訪問介護や車いすのレンタルなど、さまざまなサービスを受けることもできる。相続・終活コンサルタントの明石久美さんは「葬儀代も、年々安くなっている」と話す。

「鎌倉新書の調査では2020年の葬儀代の平均が184.3万円だったのに対し、2022年は110.7万円にまで激減しています。ただし、コロナ禍で密を避けるために葬儀自体が縮小したことによるものなので、今後はもう少し、水準が上がる可能性はあるでしょう」(明石さん)

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