家計

住宅ローンが「実質マイナス金利」突入の衝撃 銀行はなぜ「儲けが出ない金利水準」まで引き下げるのか

低金利銀行と高金利銀行の二極化へ

 気になる今後ですが、私の見立てでは、低金利銀行と高金利銀行の明確な二極化が進むと思います。

 まず、この金利水準では、銀行はほとんど儲けが出ないでしょう。場合によっては赤字かも知れません。ゆえに、保険や投信などのクロスセル(併売)で収益を確保する必要があります。つまり、マイナス金利突入とは、「住宅ローンが集客ツールになり、収益は別の商品で上げる」戦いになったことを意味します。

 ですので、クロスセルの仕組みをうまく作れた銀行は低金利を維持することができ、大きなシェアを取ることができるのではないでしょうか。一方で、クロスセルの仕組みを作れない銀行は低金利を武器にした戦いはできません。ゆえに、「審査が柔軟」「団信が充実」など金利以外の訴求ポイントを作らなければ競争から脱落してしまうでしょう。

 ネット系銀行を中心とした低金利グループと、それ以外の銀行の高金利グループへの二極化。今はそのふるい分けの時期と言えるのではないでしょうか。

【プロフィール】
塩澤崇(しおざわ・たかし)/住宅ローン比較サービス「モゲチェック」の取締役COO。モルガン・スタンレー証券にて住宅ローン証券化を担当。その後、ボストン・コンサルティング・グループにて大手金融機関などを中心とした戦略コンサルティングに従事。現在は住宅ローンアナリストとして、テレビや新聞などに登壇。TwitterやYouTubeで住宅ローンの最新情報を発信中。SNSでは「モゲ澤」という別名も。

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