来年以降、「相続時精算課税制度」を使った贈与の急増が予想されるが、山本氏はこう補足する。
「この制度を選ぶ場合、暦年贈与と違って、必ず税務署に届け出る必要があります。それを怠ると、相続時精算課税制度を使っているつもりが、暦年贈与をしていることになり、贈与税の申告漏れにつながりかねない」
一方で、生前の資金移動を「贈与」とせずに「相続」とする選択肢もある。
「資金を移した子供名義の口座を親が管理する『名義預金』としておく方法です。こちらは必ず相続税の課税対象として申告する必要がありますが、親の死後に口座が凍結されることはなく、子がスムーズに必要な資金を引き出せるメリットがあります」(山本氏)
※週刊ポスト2023年5月5・12日号