企業の賃上げの動きが注目されるなか、アルバイトの時給も着実に上がっている。厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」によると、令和4年度の最低賃金(時給)は全国加重平均で961円。前年の930円から31円の値上げ幅は過去最大で、2002年の663円からは約300円アップしている。最も高いのは東京都で1072円で、神奈川県・大阪府など、一部地域ではすでに「時給1000円時代」に突入している。
そうしたなか、自分がアルバイトをしていた学生時代と比較し、「そんな高給ありえない!」と、今の若者たちの時給感覚に驚く30~40代の人たちも少なくないようだ。
1000円台は夜勤やスキルがある人の特権だった
メーカーで働くAさん(30代男性)は、アルバイト募集の張り紙があると、何気なく見てしまう。自身も学生時代はバイトに明け暮れていたためだが、そこに記載されている時給に驚くことが増えたという。
「今は、都内だと昼間で時給1000円台スタートが当たり前。1400円なんていうものもよく見かけます。僕がバイトをしていた頃、時給は850円だったものです。1000円台は夜間勤務とか、勉強ができる人の塾講師など、何かしら特別な能力や条件がある仕事限定というイメージでした」(Aさん)
現在、都内のカフェで店長を務めるBさん(30代女性)がリアルな実情を明かす。
「うちの店は11時から22時までで、ホールのバイトは能力や経験に合わせて時給1200~1500円です。それでも、やっぱり優秀な子は、もっと時給がいい他の店に行ってしまうんですよね……。今年に入って2人、他店に行くという報告を受けたばかりです。
どちらも理由は『時給』で、1人の男の子は1600円だと言っていました。まあ夜帯の仕事とのことなので、時給がいいのも納得なんですけど、うちでは1600円は出せないし、仕方がないと思うしかありません。もう1人は女の子で、すぐ次のバイトを見つけたわけではないそうなのですが、1500円という時給に対して、勤務形態や人間関係に納得いかなかったみたいです。
そんなこんなで新しいバイトを入れなくちゃいけないんですが、採用も結構大変なんですよね。私がカフェでバイトしていた頃なんて、時給750円とかだったのに(笑)。悩ましいです」(Bさん)