「利用者を押し込んでいるような施設がある」
高級ホームはコンシェルジュが常駐し、入居者の生活相談から家族の問い合わせに対応する。また入居者の体調を管理するため看護・介護スタッフが每日複数回、血圧や心拍数などのバイタルチェックはもちろん、少しでも異変があれば提携の医師が駆けつけ、診察が行われる体制だ。三度の食事は入居者の好みや身体の状態に応じた料理が用意される。味は一流ホテル並みだ。
一方で、人員配置などの厳しい縛りがない分、住宅型老人ホームは価格を低く設定できるのだが、これはメリットの1つでもある。月々の支払い価格を低く抑えた住宅型老人ホームの存在は貴重だ。おかげで助かっている入居者も多い。
「実際、入居金や月々の支払いは安いけれど、特定施設並のサービスを行っている良心的な住宅型老人ホームもたくさんあります。むしろそうしたホームがほとんどと言える。ただ、中には倒産した施設を買い取って、大部屋をベニヤ板で仕切った部屋に利用者を押し込んでいるような施設があるのも事実。
また、食費を削るために食材の質を毎年落としていると語る経営者もいると聞きます。介護事業は介護保険の仕組みの中で行われているのですが、国の負担抑制のため毎年締め付けが厳しくなっています。今後はさらに経営が厳しくなるホームが増えるはずです」(同前)
実際この10年で80近くの老人ホームが倒産している。終の棲家と頼りにしていたものがなくなってしまうこともあるのだ。老人ホーム選びにはくれぐれも注意したい。
※『マネー格差の天国と地獄』(ニューノーマル研究会編・小学館)を元に構成