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相続手続きの負担を1枚の証明書で簡略化 知っておきたい「法定相続情報一覧図」の作り方

 なぜ戸籍謄本集めがそれほど大変なのか。

「戸籍謄本は、登録した場所(本籍地)の自治体からしか取り寄せられないので、戸籍を置いた場所が複数の地域にまたがっていると、それぞれの地から取り寄せないといけません。本籍地は、引っ越し、結婚、離婚、養子縁組などを機に移動させるケースが多く、いつどこに移動させたかは、本人しかわからないことも。ですから、親が元気なうちに、いままでの本籍地を聞き出しておいた方がいいでしょう」

 法定相続情報一覧図作成の申出は被相続人の死亡後にしかできない。しかし、戸籍謄本は住民票と違って一度登録した情報は変わらないので、生前に親子で協力して取り寄せておくのもいいだろう。

今後は年金手続きにも使えるように

 そもそもこの制度が始まった背景には、個人の資産の多様化もあるようだ。

「かつては、一般家庭の個人資産といえば、自宅不動産が1つと、銀行口座(預金)が2か所程度でした。ですから、戸籍謄本等の束を使い回ししても対応できたのです。ところがいまは、10か所近い窓口で手続きが必要なケースも増えてきました」

 戸籍謄本等の束を何度も使い回すのは面倒だ。時間もかかり、複数の束を作るとなると費用も高くなる。必要書類は、相続手続きをするならいずれにせよ集めないといけない。法定相続情報一覧図の作成と申出書の記入はそれほど手間ではないので、3か所以上で手続きするなら作った方がいい。

 この制度が便利なのに普及していないのは、書き込み式用紙の提供がないため、法定相続情報一覧図を自分で作成しなければならず、面倒に思われているからだと長谷川さんは分析する。

「難しく考えず、例をもとに作成してみましょう。申出後に不備があれば法務局で教えてもらえます」

 今後は、各種年金などの手続きなどにも使えるようになる。覚えておいて損はない。

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