明治時代の戸籍はいまと違う
日本における最初の戸籍法は、1871(明治4)年に制定された。これは身分証明を目的として家単位で作成されていた。
「この時代の旧戸籍制度は居住地の証明も兼ね、家に住むもの全員(おいやめい、愛人など)が記載されていました」
現代の戸籍は、1948(昭和23)年に新たに制定されたもの。戦前の戸籍の基本単位は“家”だったが、新戸籍の基本単位は“夫婦と子”(一組の夫婦と姓を同じくする未婚の子)。そのため、一緒に住んでいても他人は記載されない。
次の戸籍に変えると記載されない事項がある
離婚、養子離縁、父による子の認知、養親の戸籍の縁組事項などの記載は、離婚や認知などをした直後の戸籍には記載されるが、その次に戸籍を変えたときには、記載されない。
「たとえば離婚した直後の戸籍には“離婚”と記載されますが、再婚すると最新戸籍に前配偶者との離婚は記載されません」
このため、離婚歴などは隠せる。しかし、すべての戸籍を集めるとわかってしまう。
おひとりさまの戸籍も作れる
成人すると、それまで在籍していた親の戸籍から独立して、新しく自分だけの戸籍を作れる。これを分籍という。
「戸籍筆頭者およびその配偶者以外の人で、成人であれば分籍でき、本籍地を好きな場所に変えられます」
しかし分籍すると、本人が死亡後、遺族が戸籍を集める際、手間が増える。おじやおばの相続人になった場合、血縁関係を証明するために一続きの戸籍を求められることがあるが、単独の戸籍では血縁が証明できず、手間がかかる。