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相続放棄せずとも土地を手放せる「相続土地国庫帰属制度」を専門弁護士が解説 「境界線のわからない山でも諦める必要はない」

4月27日から始まった「相続土地国庫帰属制度」とは、どのような制度なのか(写真:イメージマート)

4月27日から始まった「相続土地国庫帰属制度」とは、どのような制度なのか(写真:イメージマート)

 4月27日から「相続土地国庫帰属制度」の運用がスタートした。これは、一定の要件を満たせば「土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする」という制度だ。

「農業などやる気もないのに、田畑を相続してしまい草刈りに追われている」「田舎にある実家はすでに空き家。戻る予定もないのに固定資産税を払い続けている」……など、“負動産”を受け継いだ人たちにとっては朗報な制度なのだが、どこまで“使える”ものなのか。不動産法制に詳しく、日本弁護士連合会の専門チームのメンバーとして本制度の制定に関与した荒井達也弁護士に、詳しい話を聞いた。

国庫帰属の申請ができる土地・できない土地

 まず、気になるのが、「誰でも」「どんな土地でも」手放すことができるのか、ということだ。

「当然ですが、申請できる人にも土地にも条件があります。申請ができる人は、相続や遺言で土地を取得した相続人であることが条件となります。生前贈与された土地や自ら購入した土地は対象外で、他にも申請ができない土地、承認がおりない土地の要件が定められています」(荒井達也弁護士、以下同)

「申請ができない土地」として、法務省が示しているのが以下の5つになる。

・建物がある土地
・担保権や使用収益権が設定されている土地
・通路・農業用水路などの他人の利用が予定されている土地
・土壌汚染されている土地
・境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

 また、申請はできても「承認を受けることができない土地」がある。
 これは平たく言うと、「国が管理するにしても負担が大きすぎる土地」だ。

 たとえば、高い崖にある土地や、放置車両や廃屋などが残っていたり、水道管や浄化槽が埋まっていたりする土地は、申請したとしても却下される可能性が高いという。くわえて、「その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地」もNGだ。

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