食材を買いに行くときも、あめ玉をなめて気を紛らわせながら、もやしを買うための50円だけを握って出かけ、余計なものを買わないようにしていた。こうして結婚当初は、生活費を6万円でやりくりしていたという。
借金生活が始まって26年間、そこまでしても元金は減らず、利息だけで2億6000万円を払い続けた。しかし2017年、47才のときに光明が見える。
「別の銀行に借り換えができ、大幅に利息が減ったんです。80才頃には完済するめどもついたんです」
借金返済のために80才まで働き続ける
とはいえ、50才で貯金ゼロどころか、80才頃までは借金生活が続くわけだ。それでもさゆりは前向きだ。
「確実に返せるとわかった安心感は大きいですね。最近では余裕も出て、昔からしていた五百円玉貯金もハイペースでできるようになりました。五百円玉を10枚集めて一束にして並べると目に見えて貯まっていることがわかるし、せっかくここまで貯めたんだからと不用意に使わなくなるんですよ」
いまは両親の介護もしており、親を見ていると、老後に向けてお金を用意しなければと痛感しているという。
「だから、いかに元気で働き続けるかに気をつけるようになりました。80才までは確実に働かないといけませんから」
借金があるからこそ逆に、夫婦仲よく、元気に働き続ける決意が固まったというわけだ。
「いまだかつて、80才の老夫婦がロケをしているなんてないでしょ。だから、わが家の目標は“日本一の夫婦”になること。そして、少しでも長く、一緒に仕事ができたら幸せだなって思います」
老後の幸せの指標は貯蓄額ではないのだ。
【プロフィール】
・さゆりさん(・=ハートマーク)/夫婦漫才コンビ「かつみ・さゆり」のボケ担当。18才でデビューし、30才で夫のかつみとコンビを組む。YouTube「かつさゆのボヨヨンチャンネル」はチャンネル登録数が13万人以上。著書に『さゆり流 愛の節約ごはん』(KADOKAWA)。
取材・文/桜田容子
※女性セブン2023年5月25日号