投資情報会社・フィスコが5月15日~5月19日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋りか。直近発表の米インフレ関連指標は伸びが鈍化し、金利安・ドル安に振れやすい展開となりそうだ。ただ、米国景気減速の懸念は和らいでおり、早期利下げ観測は後退しつつあるため、ドルの下げは限定的となろう。5月10日に発表された4月消費者物価総合指数(CPI)は前年比+4.9%、同コア指数は前年比+5.5%と前回を小幅に下回った。ただ、前月比の上昇率は鈍化していないため、インフレ高止まりが意識された。インフレ持続の結果を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が早い時期に金融緩和に転換する可能性は低下し、金利高・ドル高に振れやすい。4月小売売上高など経済指標で消費の改善が示された場合、ドルは下げづらい面もある。
ただ、1-3月期決算で中堅以下の地銀の業績悪化が鮮明になり、金融株の不安定な値動きが目立つ。大幅な資金流出も不安材料。金融機関の貸出基準厳格化は企業活動の縮小につながりかねず、引き続き景気後退が意識されやすい。米債務上限問題について、ホワイトハウスと議会との協議が難航していることはドル売り材料となる。
【米・4月小売売上高】(16日発表予定)
16日発表の米4月小売売上高は前月比+0.7%と、前月から改善の見通し。3カ月ぶりのプラスなら景気減速懸念は一服し、FRBの引き締め長期化の思惑につながる可能性があろう。
【米・5月フィラデルフィア連銀景況調査】(18日発表予定)
18日発表の5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は-21.1と、前月の-31.3から改善が予想される。ただ、マイナスは続くと予想され、製造業を中心とした景気減速を警戒した金利安・ドル安の要因になりやすい。