24年ぶりの円安局面を迎え、さらに大きく為替が変動している。為替変動リスクの備えとして外貨を保有することができるが、その手法としては外貨預金やFX(外国為替証拠金取引)などがある。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第14回は、「リスクを最小限にするFXの使い方」について。
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前回は、為替変動のリスクに対応するため、外貨を保有する選択肢を紹介しました。そのひとつとして外貨預金について解説しましたが、今回は、使い方次第で外貨預金よりも手数料を下げることができ、同じ効果で運用できるFXについて解説していきます。
外貨預金とFXの手数料の違い
「外貨預金は安全で、FXはリスクが高い」と思われがちですが、これはまったくの誤解です。FXが話題になるときは「大損して破産!」などといったネガティブニュースが多いため、そういった認識を持たれがちですが、実際には、外貨預金より有利に運用することもできます。
外貨預金は、預金する際に為替手数料がかかります。これは金融機関によって異なりますが、たとえば新生銀行であれば、円からドルに両替するのに通常1ドルにつき15銭かかります。10000ドル預金する場合は、1500円とまあまあの手数料になります。実はこれはお安いほうで、メガバンクだと、おおむね1ドルにつき1円の手数料がかかるので、10000ドルの預金で10000円の手数料がかかってしまいます。これはかなりの痛手ですよね。
一方、FXの場合は、1ドルに対して0.02銭といったほとんど無視できるレベルの手数料です。為替の変動は自分でコントロールできませんが、手数料は、最初から分かっているコストなので、自分でコントロールできます。コントロールできるところは、できるだけ安くするというのが資産運用の鉄則です。
円高になった場合も利益を出せる
実はFXには、外貨預金ではぜったいありえない技を使うことができます。その技とは、外貨の“売り”です。いまいちピンと来ませんよね? 普通は、円をドルに替えて(買って)、その後、ドルが上昇すれば利益が出ます。逆に、円をドルに替えたあと、ドルが下がってしまうと損をします。ところが、FXでは、これからドルが下がるかもしれないと思ったときに、ドルを売って、実際にドルが下がったときに買い戻せば利益を出すことができます。「持っていないドルを売る?」って頭にハテナマークが浮かびそうですが、そこは今の段階では深追いせず、下がるときに売るという手段があるということだけ理解しておいてください。