デザイン面では、見れば見るほど存在感がどんどん大きくなっていくのです。とくに太陽の下で見るアイオニック5のエッジが効いたエクステリアデザインは、相当に目立つ存在となります。グッと睨みのきいたフロントフェイス、エッジが何本も走るボディサイド、横方向にスクエアなラインが走るリアスタイル。ヘッドライトもリアライトも共通のデザインテイストで貫かれ、統一感もあります。これを表して「ガンダム的」という人もいますが、どんな言葉を使おうとも、このデザインによって日本の道路で視線を集めることは確実です。
デザインの統一感という意味で言えば、ドアを開けてシートに腰を下ろしキャビンのデザインを見ると、多少の違和感があります。ただ、それは決して悪い意味ではありません。外観のパキパキとした印象とはまったく違っていたのです。外観の高質感から一転、非常に柔和な雰囲気を感じさせる、どちらかと言えば北欧家具のようなインテリアなのです。ソフトで居心地のいいキャビンを演出していますから、ストレスはありません。こうしたデザインとBEVとしての基本性能があったからこそ、米国のBEV市場ではテスラに次いで売れているのでしょう。
そして日本では、上陸を果たした昨年、ヒョンデ車の総販売数は500台を超える数字を残しています。JAIA(日本自動車輸入組合)のデータで実数は不明ですが、一緒に上陸してきた同社の燃料電池車「NEXO(ネッソ)」が、それほど多くはないことを考えると、ほぼBEVの「アイオニック5」の数字と考えていいでしょう。
これはホンダe(371台)やスバル・ソルテラ(105台)より上です。日本の2022年のBEVトップであるテスラの6000台弱(推定)という数字には敵いませんが、アウディやボルボのEVが800台あまりということを考えると、輸入BEVの中でも、健闘していることがわかると思います。
クルマにとってデザインは「重要な性能のひとつ」であることは間違いありません。それゆえ、ハード面で満足できれば、後はデザイン次第というクルマ選びも成立します。これからは「デザインで韓国車を選ぶ」と言う新たなフェーズに入ったのかもしれません。日本車も油断はしていられないのです。
【ヒョンデ・アイオニック5 ラウンジAWD】
価格:5,890,000円~(税込み)
全長×全幅×全高=4,635×1,890×1,645mm
ホイールベース:3,000mm
車重:2,100kg
最小回転半径:5.99m
最低地上高:160mm
トランスミッション:1段変速機
駆動方式:4WD
モーター:交流同期電動機
最高出力:225kW(305PS)/2,800~8,600rpm
最大トルク:605N・m(61.7kgf・m)/0~4,000rpm
一充電辺り走行距離:577km(WLTCモード)