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お金持ちが寄付をするのは“幸せを購入する”ためか 感謝される経験は幸せが長続きする

「誰かのため」にお金を使うことが幸福度に影響する(イメージ)

「誰かのため」にお金を使うことが幸福度に影響する(イメージ)

 老後のお金への不安に駆られて貯蓄に励むシニア層は少なくない、令和3年「家計の金融行動に関する世論調査」では、世帯主が60代の2人以上世帯の貯蓄額の中央値は810万円で、これは全世代の中でもっとも多い。

 ただし、「資産が多い=幸せ」ではないというデータもある。2015年の米プリンストン大学の研究では、年収7.5万ドル(約1000万円)までは、収入が増えるほど幸福度が上がったが、それを超えると幸福度は横ばいになることがわかった。国内でも2019年の内閣府の調査では年収1000万円までは収入とともに幸福度が上がったが、年収3000万円を超えると下がっていく傾向があった。

 お金を貯め込むよりも、使ったほうが幸せになれるのだとしても、着飾って見栄を張ったり、プライドを満たすためのお金の使い方では、幸福度はむしろ下がる一方かもしれない。幸福学研究者の前野マドカさんは言う。

「寄付やプレゼントなどの他利的な行為は、幸福度を上げるという研究結果があります。人から感謝される経験は、誰とも比べられない自分だけのものだから、幸せが長続きするのです」(前野さん)

 お金持ちが寄付やボランティアをするのは、単純に「お金が余っているから」ではない。彼らは多額のお金を出して社会貢献することで、幸せを“購入して”いたり、それまでに受けた恩を社会を通じて返したりしているのだ。

もっとも身近な寄付は「ふるさと納税」

 たとえば、日本最大のホテルチェーン・アパホテルの「アパグループ」は、東日本大震災発生時に「アパ社長カレー」7000食を宮城県に寄付している。2018年7月の西日本豪雨でも日本赤十字社に1億円と被災地にカレー1万食、今年1月もウクライナにカレー1000食を寄付したほか、長年続けてきたチャリティーオークションによる日本赤十字社への寄付金が累計1000万円を超え、こうした社会貢献活動が評価され、日本赤十字社から感謝状を授与されている。

 とはいえ、いくらお金を使い切ろうとしても、一般人にはこれほど大きなお金を出すことはできない。家計再生コンサルタントの横山光昭さんは言う。

「私たちにとってもっとも身近な寄付は、ふるさと納税でしょう。返礼品がもらえるので、厳密には無償の奉仕とは言えませんが、何もしないよりはいい。“犬の殺処分禁止”“南アフリカでつくられた洋服を買うと、売り上げの一部が寄付される”など、目的と寄付金の行き先がハッキリしているものの方が納得感があり、幸福度が上がりやすいはずです」(横山さん)

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