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「正規社員は昇給、非正規はそのまま」は差別ではないのか? 弁護士「合理的といえる側面もある」

 ご質問の昇給が、昨今の物価高騰を理由とするものであれば、同様の悪影響は非正規社員も受けているはずで、非正規社員が昇給しないのは不合理な差別のようにも思えます。ただし、問題はそれが考慮すべきとされる「その他の事情」に該当するかということ。

 正社員のみ昇給するのは、その生活の維持に資することで、勤務の継続の確保にあるといえます。そうすると、非正規社員との差別は会社における役割の重要性や期待度の違いの反映です。いま、同じ仕事をしていても、今後は転勤や昇格を経て、会社の中核になっていくのを期待する正社員を厚遇するのは合理的といえる側面もあり、にわかに判断できません。

 不満がある場合、改正『労働法』では都道府県の労働局長の助言などの援助を受けたり、調停を申し立てられます。労働基準監督署に相談するのがよいでしょう。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。

※週刊ポスト2023年6月2日号

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