本来食べられるにもかかわらず、多くの食品が廃棄されている。農林水産省によると、2020年度の食品ロス量は約522万トンと推計されている。この数字は前年度比48万トン(約8%)減少し、5年連続で減っていることから、食品ロスへの意識の高まりもうかがえる。
実際、消費者庁の「令和3年度 消費者の意識に関する調査 結果報告書」でも、食品ロス問題を「知っている」と回答した人が80.9%と高い水準だった。食品ロスを減らすための取り組みについては、「残さずに食べる」と答えた人が69.3%で最も多かった。
自炊するのであれば、自分が食べられる分だけ作るといった対策ができるが、食事の量を調節しにくい外食の場合はどうか。自分が注文した分は残さず食べるように心がけていても、家族の分はどうするのか。外食時における、家族の「食べ残し」事情については、さまざまな意見があるようだ。
毎回、妻子の食べ残しを食べる夫
30代男性・Aさん(メーカー勤務)は、妻と小学生の娘と飲食店で食事をする際の「食べ残し」問題に悩まされている。
「妻と子供は、飲食店で食事を残すことが多いんです。おいしいものを食べたいという気持ちはわかるんですけど、ひとつのメニューを食べきらないのに、2品頼んだりする。私は残したくないという考えなので、結局、私が彼女たちの食べ残しを食べることになります」
外食するたびに、家族の食べ残しを食べるAさん。妻子には、口酸っぱく『食べられる量しか頼まない』よう訴えているが、『お金は払っているんだから』と、“どこ吹く風”なのだという。
「『作ってくれる人の気持ちを考えて』『そもそも残すのはもったいない』と言い続けていますが、もはや『また言ってるよ』くらいの感じ。食べ残しのことを考えて、いつからか自分が食べたいものは後回しになっているのですが、妻も子供も、『どうせお父さんが食べてくれるから』と、ますます自由になる始末で……」(Aさん)