5月12日にゲオホールディングスが2023年3月期決算を発表した。売上高は前期比12.7%増の3773億円で4期連続の増収。営業利益は前期比29.9%増となる106億2000万円と大きく躍進した。「ゲオ」というと、黄色と青の看板のビデオ・CDレンタル店というイメージが根強くあるかもしれないが、音楽・映像レンタル市場が縮小するなかで、同社の“稼ぎ方”は大きく姿を変えていた――。
今回、発表された決算の「商材別売上高」を見ると、レンタル事業の売上は約369億円。前期比14.1%減で、全体の売上に占める割合は約1割に過ぎない。変わって大きな存在感を見せているのがリユース(中古品販売)事業だ。前期比18.5%増となる約1996億円を売り上げている。
「近年のゲオは、圧倒的にリユース事業で成長する企業になっています。かつてのレンタル事業を主軸とする企業から生まれ変わったがゆえに、今でも成長を続けられているということです」と解説するのは、経済評論家で百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏だ。
「ゲオのリユース事業とは主に、スマホやタブレットのリユース品(中古品)の販売、そしてもう一つは衣料のリユース品を扱う『2nd STREET』という業態が大きく成功しています。後者に関しては今、古着のマーケットそのものが大きくなっているというポイントを押さえており、この業態での最大の競争相手はメルカリという状況になっています」(鈴木氏)
ゲオが主力とする事業が変化させていったのは「最初はわりと自然な流れだったのではないか」と鈴木氏は続ける。
「同社はもともと、ビデオやCDのレンタルから事業が始まり、その後にゲームの中古品を扱うようになります。ゲームのレンタルは事実上禁止されているので、古いソフトを買い取って中古のソフトを売るというビジネスが立ち上がったわけです。1990年代あたりになると、ビデオ・CDのレンタルと中古ゲーム販売がビジネスの2本柱なってくる。その後、2000年代に入ってスマホの時代がやってくると、中古のスマホの売買に手を広げるという話になった。そこまではひとつの自然な流れと言えるでしょう。
ただ、ゲオが面白いのはゲームやスマホの中古品売買を手掛けるというところから発想を広げ、同じリユースの分野で“衣服に進出してもいいんじゃないか”と打って出たところです。スマホの中古品までは過去の延長と言えますが、リユース分野のノウハウを蓄積したことで衣服に手を広げられるだろう、と考えて始めた『2nd STREET』をヒットさせたのが、同社の成功の特徴的なポイントですね」