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レンタル市場縮小でもリユース事業が急拡大 ゲオHDはいかにして「主力事業の大転換」を成功させたのか

ゲオグループの主なショップと主要な取り扱い商材(2023年3月期決算説明資料より)

ゲオグループの主なショップと主要な取り扱い商材(2023年3月期決算説明資料より)

NETFLIXや富士フイルムと同じタイプの成功

 かつてレンタル事業ではライバルだったカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「TSUTAYA」との違いも興味深い。鈴木氏が続ける。

「昔はTSUTAYAのほうが大きいイメージがありましたが、今ではCCCの連結売上高が1800億円程度、営業利益は10億円を切っている。ゲオの半分くらいの企業規模になってしまったわけです。両社の何が違ったのかを改めて考えてみると、ゲオは徹底的に“庶民”が主要な顧客で、TSUTAYAは“中流の上”あたりをターゲットにしていました。

 一番わかりやすいのがレンタルDVDの料金で、ゲオはかなり早い時期から旧作を100円で貸し出していましたが、TSUTAYAはその当時は対抗値下げに消極的でした。CCCは、自分たちの顧客は日本のカルチャーを引っ張っていくような人たちが中心と考え、お洒落な喫茶店を併設するなどの取り組みを進めた。結果的にどっちの市場が大きかったかというと、庶民の市場のほうが大きかったということではないかと思っています」

 ゲオのように、主軸となる業態を大きく変えて成功している企業は、それほど多くないと鈴木氏は言う。

「DVDの宅配レンタル事業から映像配信サービスへと変わっていったNETFLIXや、写真フィルムの事業から始まって今は医療機器分野などで成功を収める富士フイルムなども、ゲオと同様にもともと大きかったマーケットが小さくなっていくなかで“稼ぎ方”を大きく変えて成功した企業の代表格です。他にもいくつか例はありますが、ゲオのように上手くやっているところは珍しいと思います。

 もちろん、大企業の場合は本業が行き詰まった時のセーフティーネットのような事業を持っていることが多いです。たとえば、伊藤園は本業のお茶の事業だけでまず問題ないはずですが、それでも関連会社として、タリーズコーヒージャパンや、ヨーグルトのチチヤス、ミネラルウォーターのエビアンなどがある。そんなふうに隣接領域のビジネスにきちんと進出している大手企業は多い。ただ、ゲオのように創業時からの本業だったレンタルが大きく売上を減らし、新しく進出した事業のほうがはるかに大きくなって成功している例となるなと、そこまで多くはないでしょう」

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