「ここまで会社が大きくなったのは、私がいたからなのに…」
社長の近くにいた人のこういう思いが、告発につながっているのではないかと思います。税務調査に入られにくい企業の体質は、まずは、社員同士のコミュニケーションがよいことが特徴になっています。経営者は、ともに会社を大きくするために頑張ってきた人には、特にいつも感謝の気持ちを伝えること、その働きに報いることを忘れると、思わぬ反旗を翻されます。「金の切れ目は縁の切れ目」とはよく言われる言葉ですが、私の経験からすれば、元奥さん、元愛人などには、経営者が思っている以上にきちんとした対応をしないと、特に恨みを買うことが多いように思います。
【プロフィール】
飯田真弓(いいだ・まゆみ)/元国税調査官・税理士。産業カウンセラー・健康経営アドバイザー。高卒女子初の国家公務員(税務職)として採用され、現場一筋26年、7つの税務署でのべ700件に及ぶ税務調査に従事。2008年に退職。現在は、「おかん税理士」として、法人会、納税協会、税理士会、商工会議所などで講演やセミナーを実施。
※飯田真弓・著『税務署はやっぱり見ている。』(日本経済新聞出版)より一部抜粋して再構成