個別株投資を行う際に、予想と反して下落して悔しい思いをしたことがある人は少なくないだろう。企業の株価はどのような要因によって動くのか。新刊『株式投資2年生の教科書』が話題の、株式会社RES代表取締役・児玉一希氏が、株価を動かす「3つの要因」について、具体例とともに解説する。
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企業の株価は1つの理由だけで動いていません。よくニュースで、政治家の発言や経済指標の発表、企業の報道などで「株価が上がった、下がった」と言っているのを見かけますが、株価はそんな単純なものではありません。
よく考えていただきたいのですが、株式市場には何万人何十万人といったレベルではなく、世界で見れば億単位の参加者がいます。
わかりやすく、米国のS&P500を売買している投資家にたとえます。1日にS&P500を売買している投資家は、どんなに少なく見積もったとしても、1万人は絶対にいるでしょう。
では、とある日にS&P500を売買した1万人の投資家に売買した理由を聞いてみてください。売買とは、買う・売ることを指し、さらに「何もしない」という判断も売買に含めます。
彼ら/彼女たちからは様々な答えが返ってきます。「チャートが上がりそうだから買った」「中央銀行の総裁の発言がポジティブだった」「積立の買い増しをした」「RCI(※株価が割安か割高かを判断する指標の1つ)がマイナス100%と大底に触れていた」といった発言が、買った人からは出るかもしれません。
一方で売った人からは、「アップルの決算が予想よりイマイチだった」「景気の動向がまだまだ悪そう」「なんとなく怖いと思って」といった理由が出てくるはずです。
そして、現実には投資家1人1人の売買理由を全て把握するのは不可能です。そう、株価というのは市場参加者の様々な思惑が複雑に重なって動いているのです。この事実をちゃんと認識していないと判断を誤ります。
その前提があった上でここからは、株価を決める主な3つの要因について取り上げていきます。この3つを押さえるだけでも、株価の動きの要因をだいぶ把握できるはずです。