披露宴や会食など、特別なひとときを彩るコース料理。前菜から始まり、メインの魚料理や肉料理、デザートという流れが一般的で、順を追って提供されるのが特徴だ。ただし、一品ずつゆっくりと味わいながら会話を楽しめる一方で、敷居が高いと感じる人は少なくない様子。コース料理のどんなところに苦手意識を持っているのか、「自分はコース料理に向いていない」と感じる人たちに本音を聞いてみた。
緊張して食べた気がしない
フリーランスデザイナーの30代女性・Aさんは、披露宴でのコース料理が苦手。マナーに不慣れで緊張してしまうと漏らす。
「自分からコース料理を食べに行くことはないので、コース料理を食べるのは、もっぱら誰かの披露宴です。式場では絶対おいしい料理が出てくるのに、失礼や失敗がないように緊張してしまい、食べた気がしない。使うべきフォークやナイフを間違えて、肉だったか何だか、なかなか切れないという失敗をしたこともあります。
前菜にありがちなサラダも怖いです。薄い葉物をフォークで食べ慣れておらず、お箸がほしくなってしまう。実際、『お箸ありませんか?』と聞いて、『ありません』と断られたこともあります。ただ、なかには、用意があるところもあって、お店によって違うんでしょうけど、最初から全部お箸にしてもらいたいぐらいです」(Aさん)
コース料理が苦手な理由について、Aさんは“育った環境”を挙げる。
「私立の中学や高校に通っていた友人たちは、『マナー講座があった』と言っていました。それがどれだけ役立つのかわかりませんが……。大学では、名店のランチコースなんかを予約して、グルメを楽しむ同級生もいましたが、私はそこにかけるお金の余裕はなかった。会社員の友人では、大手に勤めている人は、接待などでそういう経験があるようですね。私は公立中高で、仕事もフリーランスだし、コース料理とは無縁の生活です」(Aさん)