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疎遠だった父の相続「株やゴルフ会員権は?」「借金は?」質問に何も答えられなかった30代男性を救ったエンディングノート

エンディングノートが相続手続きの助けに

 こうした相続人の不安を軽減するためには、エンディングノートや遺言書などを活用して、財産についての情報を目に見えるかたちで残しておくことが大切だ。

 市販のエンディングノートには、治療や介護、葬儀などの希望だけでなく、財産や遺言書の保管場所などを記入する欄が用意されている。どこに、どれほどの財産があるのかを記載しておけば、相続人も安心して続きを進められるだろう。

 また、生命保険は請求権が発生してから3年以上経過すると時効を迎え、受け取れなくなってしまう。契約している生命保険会社をエンディングノートに記載しているだけでも、保険金請求の手続きがスムーズに進むだろう。

 父がどのような生命保険に加入しており、どこの証券会社で株式投資をしていたかわからずに困っていた前出・Aさんだが、実はその後、エンディングノートを発見し、手続きを問題なく進めることができた。

「しばらくして、父がお世話になっていた親戚から連絡があり、エンディングノートを受け取りました。父が利用していた銀行や証券会社、生命保険会社も書かれており、相続手続きがスムーズに進みました。私への思いもつづられていました」

 当初は税理士の質問に答えられなかったAさんだったが、エンディングノートをもとに調べることで、父の財産を把握することができたのだ。

 相続人に財産を伝える方法としては、「遺言書」も有効な手段だ。遺言書は、財産を「誰に譲るか」といった意思表示をするための書類でもあるが、「どの財産を誰に譲るか」を示すために財産目録を作成することがある。財産目録には現預金や不動産などの財産だけでなく、負債まで記載するケースが多いので、相続人が財産の把握をするのに役立つだろう。

 エンディングノートと遺言書を「必要になってから書けばいい」と考えている人も多いが、病気や認知症になって書けなくなることも考えられるので、なるべく元気なうちに作成しておくことが大切だ。家族に「エンディングノートを書いてほしい」と言いにくいのであれば、「自分も手伝うから一緒に書いてみよう」と提案してみるのもよいだろう。(了)

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