成長著しいある企業が、米国で8社目となる「1兆ドルクラブ」に仲間入りした。GPU(画像処理半導体)の設計・開発を手がけるエヌビディアだ。米国株全体の牽引役となったエヌビディアだが、創業は1993年と若い。20年前の同社の株価が1ドル前後だったことを考えると、直近の株価はそこから400倍に高騰している。
株の世界では買値の10倍以上に“化ける”銘柄を「テンバガー」と呼ぶが、現在のエヌビディアはそれを遥かに超えるインパクトを市場に与えた。はたして、こうした大化け銘柄をどうやって探せばよいのだろうか。投資のプロに話を聞いた。
エヌビディアのような「数百倍の株価」に化ける企業となると、海外企業に目を向けることが重要だ。マーケットバンク代表の岡山憲史氏が「次のエヌビディア」になる可能性があるとして期待するのは、米企業インテグリスだ。
「マサチューセッツ州ビレリカを拠点とする半導体製造業向けの材料サプライヤーです。半導体製造プロセス用洗浄液など、半導体メーカーの歩留まりを向上させる材料を提供しており、積極的なM&A戦略で事業内容を拡大させている点に注目」
グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏は、「外国株なら米国よりも中国株が有力」だと指摘する。
「あえて言えば、『人の行く裏に道あり花の山』という相場格言でしょうか。世界的に出遅れていた日本株に大量の資金が流入する一方、中国株は業績に比してかつてないほどの割安水準。こうした流れが(時間はかかっても)中国株に再来すると考えれば、今は中国株を安値で仕込める大チャンスと言える。すでに高値圏にある米国株より中国株のほうが上昇余地は遥かに大きいでしょう」
戸松氏は中国のIT大手テンセント、ITコングロマリットのアリババ、スマートフォンメーカー・シャオミが大きな株価上昇を期待できるものと見ている。
なかでも、アップル、サムスンに次ぐスマホ世界シェア3位のシャオミには、2024年発売予定の「EV」に期待がかかる。
「5.8億人を超えるシャオミ・ユーザーの多くは、EVを待ち構えている米アップルのファン同様、同社製EVが登場すれば購入を検討する可能性が高い。以前から一貫して『スマートフォン×AIoT(AIとIoT「Internet of Things:モノのインターネット」の組み合わせ)戦略』を唱えるシャオミの事業にEVが加われば、より一層、AI関連としても注目度が高まり、長期的な魅力が高まるでしょう」(戸松氏)
このなかから大化けする銘柄が出てくれば、「億り人(投資によって資産が1億円を超えた人)」も夢ではない。生成AIの登場が人類社会のあり方を変える可能性が高い以上、投資においてもチャレンジの機会が到来しているのかもしれない。
※週刊ポスト2023年6月23日号