「“下の人”は大変ね」
製薬会社で働くBさん(42)は5年前、都内ターミナル駅近くの2LDK(70平方メートル)で8000万円のタワマン低層階を5000万円のローンを組んで購入。妻と幼い子どもとの3人暮らしだが、そこで「階層格差」を体験したという。
「高層階には各フロアにゴミ捨て場があるんですが、5階までの居住者は1階のゴミ捨て場に捨てにいく必要がある。だからエレベーターにゴミ袋を持って乗るわけですが、高層階の住人と乗り合わせると冷ややかな視線を感じます。妻は高層階の居住者から『“下の人”は大変ね』と言われたと憤慨していました。
それでも妻は見栄を張りたいようで、私がママ友との食事会に呼ばれた際は、『あなたは商社マンでドバイに赴任していた設定だから、話を合わせてね』と“職場偽装”を持ちかけられて頭を抱えました。妻のことを嫌いになってしまいそうで……。タワマン暮らしのストレスが溜まるばかりで、ローンは残っているけどいっそ売却して引っ越そうと考えています」
騒音や振動、エレベーターや住民トラブルなど、タワマンには様々な難点があると榊氏は語る。
「タワマンは1階上がるごとに価格が上がり、低層階と高層階では1000万~2000万円以上の差がつくこともあります。収入が大きく異なる大勢の人が同じ建物で暮らすため、階層格差が生じやすい。子育て世代は習い事や塾の話で収入格差が露呈します。それが嫌でタワマンを離れる住民も目立っている」