「勝ち組の象徴」として人気を博してきたタワーマンション。2000年代から富裕層の入居が続いていたが、最近では、その傾向が変化しつつあるようだ。
不動産ジャーナリストの榊淳司氏は「タワマン神話」に陰りが見えると、次のように指摘する。
「憧れのタワマンに住んでみたら様々なトラブルに見舞われたり、思うようにいかなかったという家庭は少なくない。『こんなはずじゃなかった』と住み替えるタワマン住民が目立ちます」
一般の人々の意識も変わりつつある。不動産サイトを運営するAZWAYの最新のアンケートではタワマンに「住みたくない(384人)」が「住みたい(116人)」を大幅に上回っている。
他方、タワマン離れを象徴するのが「低層マンション」の人気ぶりだ。
今年2月に販売を開始した「三田ガーデンヒルズ」(東京都港区)は13~14階建てで、いわゆるタワマンとは異なる。プールやスパ、シアタールームなどを完備し、敷地内には「住民専用の森」を整備。分譲マンション過去最高額の55億円を上回ると噂される。
実際、真の富裕層は低層マンションに住み替え始めている。前出・AZWAYのアンケートでは、タワマン居住経験がある人の年収で最も多かったのは「500万~700万円」で、次が「1000万円以上」だった。マンショントレンド評論家の日下部理絵氏が指摘する。
「今は年収700万~1000万の年収があれば、10倍のローンが通ってタワマンに住むことができます。700万円は決して低い年収ではありませんが、昔よりもタワマンが手に入りやすくなったことは事実です。
一方で富裕層のタワマン離れが進んでいます。昔のタワマンは希少性がありましたが、いまは東京だけで470棟ものタワマンがある。このため年収3000万円を超える真の富裕層は三田ガーデンヒルズなど高級邸宅物件に目を向けています」