人事院による2022(令和4)年の調査では、退職金制度がある会社は全体の92%。その中で、企業年金制度があるのは約48%と、およそ半分が実施していることになる。
いずれも会社員がもらう年金に違いないが、公的年金である厚生年金と、企業年金ではどんな違いがあるのか。
「厚生年金は自分と会社が折半して保険料を積み立てていきますが、企業年金は基本的に保険料を会社が出してくれます。厚生年金のように給料から差し引かれることはなく、給与明細にも書かれていません。そのため、自分の会社に企業年金があるのかどうかを知らない人も多いんです」
さらに、企業年金は厚生年金と違っていくつかの種類があると、荻原さんは言う。
「その中で、これまで圧倒的に多くの企業が採用してきたのが『厚生年金基金』です。これは“世の中がどう変わっても、すでに確定している年金額は将来必ず支払います”と会社が保証してくれるものです。
これは社員にとってはありがたい仕組みですが、会社にとっては不良債権になってしまうこともあるしかも、社員に有利な利回りを約束している場合、その支払いのために会社の負担がさらに大きくなるリスクもあります」
そこで、会社のリスク軽減のため現在主流となっているのが、2001年に法施行された「確定拠出年金」だ。
「別名『401k』と呼ばれるもので、いまでは多くの企業がこちらに移行しています。企業が拠出する掛け金は確定していますが、将来年金として給付される額は社員自身の運用次第で変わる、というのが401kの仕組みです」