もらえるはずの「企業年金」をなぜ100万人以上が放置している?
会社員にとってなんともありがたい企業年金だが、実は100万人以上もの人が受給年齢に達しているのにもらわず放置しているという報告がある(企業年金連合会ホームページによると、令和4年3月末時点の裁定請求書未提出者数は111万7000人)。その理由とは何だろう。
企業年金は、すでに会社を退職している人でももらえることをご存じだろうか。未請求者が100万人以上もいる大きな理由がここにある。
「公的年金は保険料を10年間支払わなければもらえません。一方、企業年金は、働いていた会社に企業年金があって最低1か月間働いていれば、支給開始年齢から一生涯、つまり死ぬまでもらえます」(荻原さん・以下同)
未請求者の中で最も多いのが、表にある約65万人の請求書不達者。つまり、請求するよう通知しているにもかかわらず、その通知自体が手元に届いていない人だ。
「そうしたケースは、特に女性に多く見られます。会社に数年勤めた後、結婚して退社。それに伴って名字が変わったり、引っ越したりするわけですが、通知は会社に勤めていた頃の名前や住所で送付されるため、手元に届かないケースが増え、未請求となってしまうのです」
確かに、何十年も前のことで、そもそも会社勤めをしていたことすら忘れていたという人や、自分の働いていた会社に企業年金があったのかどうかわからないという人にとっては、通知が届かなくても疑問に思わないだろう。
「さらに、会社勤めの経験があっても、最低1か月という短い期間でも働いていればもらえるということを知らなかったり、10年以上支払わないと受給資格がない公的年金と混同している人も多いんです」
そのほか、届いているのに放置している人の中には、すでにこの世を去った人や、認知症などで手続きが難しい人なども考えられる。