セクハラ、パワハラ、アルハラ──。さまざまなハラスメントがあるいま、“告ハラ”という言葉も登場している。告ハラとは、明らかに脈がない状態や、相手の気持ちを確かめないまま、一方的に好意を告げ、相手に不快な思いをさせること。とりわけ職場のように、告白した側とされた側が毎日顔を合わせるような環境の場合、その後の関係もややこしくなる。実際に、職場で“告ハラ”に遭ったという人の声を聞いた。
社内チャットで「在席中」表示を見て…
30代女性・アイさん(仮名、IT企業勤務)は、大学を卒業してすぐ不動産関連企業に勤めていた頃、5歳上の先輩に好意を持たれ、悩ましい日々を送ったことがある。
新卒入社でその会社に入ったアイさん。先輩からは、仕事だけでなく、社会人としての姿勢など、さまざまなことを教えてもらうなか、LINEでもやりとりしていたそうだ。ある日、先輩から、「今度、まじめな話があるから時間を空けておいてほしい」という連絡が入った。その数日後、仕事終わりの飲み会の帰りに告白されたそうだ。アイさんはこう振り返る。
「もちろん職場恋愛をする人たちはいますが、私はそういう目でその先輩を認識していなかったんですよね……」
アイさんは断ったが、その後も先輩はあきらめるどころか、むしろ“情熱”とばかりに、毎日のように連絡がくるようになった。LINEで「何してる?」「どこにいるの?」といった問いを送ってくるほか、職場でも積極的に食事に誘ってきたという。アイさんが社内チャットで“在席中”になっていると、いつの間にか隣に座っていることもあった。
「断っているのに、あきらめないで、関係を迫ってくるのは、ハラスメントですよね。しかも、職場の人たちも、『お前、あいつと付き合えばいいじゃん』とか、『いいヤツだよ』など、ナゾに先輩推しなんです。私の意向は? と混乱しましたし、うんざりでした。結局、人間関係が面倒になり、会社を辞めました」(アイさん)