投資情報会社・フィスコが6月12日~6月16日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円はもみ合いか。米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で追加利上げが決定される可能性がある。ただ、1ドル=140円台は日本政府・日本銀行による為替介入への警戒感が強まるため、リスク選好的なドル買い・円売りは抑制され、ドルの上値はやや重くなりそうだ。豪準備銀行とカナダ銀行の両中央銀行が金利据え置き予想に反して引き締めを決定し、利上げ圧力の強さが意識されている。13-14日開催のFOMCでは利上げ見送りがメーンシナリオに変わりはないものの、FEDウォッチでは利上げ予想の増加が目立つ。クリーブランド連銀が算出するCPIナウによると、6月13日発表の米5月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.13%(前月+4.9%)、コア指数は同+5.34%(同+5.5%)。連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標上限を依然として上回っており、CPIは引き締めを後押しする材料になりやすい。
また、6月に利上げが休止されてもFRBのインフレ抑止に前向きなスタンスが予想され、7月の利上げ再開が想定される。FOMCで公表されるドットチャート中央値でターミナルレート(利上げの最終地点)は3月の5.125%から上方修正されればドルを押し上げる見通し。ただ、5月30日には財務省・金融庁・日銀による三者会合が開催され、ドル円の上値は重くなるだろう。関係者は円安けん制を狙ったものではないとしているが、過去最大級の円買い介入で円安を回避した経緯から円売りには慎重になるだろう。当面は三者会談開催の際に付けていた140円90銭付近が上値メド。日銀の緩和継続で円安は続くものの、主要通貨は対円で上げ渋る展開が見込まれる。
【米・5月消費者物価コア指数(CPI)】(13日発表予定)
13日発表の米5月コアCPIは前年比+.5.2%と予想されている。インフレ率は鈍化する見込みだが、物価目標上限を上回り、金融引き締め政策を正当化しよう。
【米・5月小売売上高】(15日発表予定)
15日発表の米5月小売売上高は前月比で改善できるか注目される。低調な内容なら景気後退(リセッション)が意識され、FRBの引き締め後退を見込んだ米金利安・ドル安の手がかりになりやすい。