1つの番号に全情報をひもづける「フラット型」のリスク
経済ジャーナリストの荻原博子さんが警鐘を鳴らす。
「マイナポータルでは、マイナンバーカードをつくればさまざまな行政サービスがスピーディーに受けられるとうたわれていますが、これだけのトラブルを目の当たりにしては、とても信頼できません」(荻原さん・以下同)
荻原さんは、今後はカードを持っているだけで、さらなる不利益が生じる可能性があるとみる。
もっとも気がかりなのはやはり、個人情報の漏えいだ。マイナンバーと暗証番号さえわかれば、住所や氏名、生年月日はもちろん、勤務先、収入状況、病歴まで、ほぼすべての個人情報が漏れてしまう恐れがある。
「マイナンバーカードのように、1つの番号に全情報がひもづけられている管理方法を『フラット型』といい、アメリカやシンガポールでも同様の方法が取られています。ですが、アメリカでは過去にこれを利用した詐欺で、年5兆円が奪われました。シンガポールでも2018年に150万人の医療情報が盗まれる事件が起きている。このため諸外国ではフラット型の利用範囲を狭めているのに、日本はそれに逆行しているのです」
マイナポータル規約には〈デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き、デジタル庁は責任を負わない〉と書かれている。
つまり「基本的に、何が起きても国は責任を負いません」と明記しているのだ。
「“デジタル後進国”である日本が、国民の個人情報を犯罪者から守れるとは、とうてい思えません」
※女性セブン2023年6月29日号