一枚のハガキや1通のメールで、大きなプレゼントを手にするかもしれない「懸賞」。さまざまな理論やテクニックを駆使する“懸賞の賢人”たちが口を揃えるのは「真剣に取り組めば、懸賞からは賞品以上のものが得られる」ということだ。
8年半ほど前から懸賞生活を始め毎月の当選件数40件を誇る懸賞の達人・わこさんは、懸賞生活で脳が鍛えられていると語る。
「スーパーの懸賞で応募するのに必要な買い物の金額が決まっている場合、現時点で何回分の応募ができるんだろうと頭の中で暗算しながら買い物をしています。金額をオーバーするともったいないから、ピッタリをめざすんです。おかげで脳を鍛えることができます。ただその分、買い物にすごく時間がかかりますけどね(苦笑)」(わこさん)
精神科医の渡邊宏行さんは「懸賞生活は認知症予防につながります」と指摘する。
「手を動かしてはがきを書いたり、メールを打ったりすることそのものが脳を刺激するうえ、クロスワードパズルなど懸賞に使われるクイズを解くことは、空間や直感につながる右脳を活性化します。いずれも認知症の予防につながるといえる」
あの賞品を当てるぞ、と目標を持って行動することも脳を活性化するという。
「前向きな気持ちで懸賞に取り組むと、幸せホルモンといわれる神経伝達物質のセロトニンが脳内に分泌されて、心身が安定します。当たることもあれば当たらないこともあるのが懸賞のミソで、何度も挑戦する楽しさや当選したときの達成感がバランスよく味わえる。懸賞はギャンブルやアルコールのように健康を害することもなく、生活に張りを与える潤滑剤になります」(渡邊さん)